chapter 52~ chapter 52 “同居” ~ 私の心は少しづつ柔らかくなっていたけれど、私には心配な友達が居た。 その子は私が初めて過喚起症候群で倒れた会社に居た私の後輩だ。 元気で明るい、面白い子だった。 あの会社を辞めてから、あんまり連絡は取っていなかったけれど 私が結婚前、母と暮らしていた頃、久々に一度遊んだ。 その時、私が「心療内科に通っている」という話をした時に彼女は 「実は私も変な癖があるんだ~」と私に告白してきた。 実は、時折ものすごい量を食べては吐く、というのを繰り返している、と。 私は「それは1度病院に行った方がいいよ」と言って私の通う病院を紹介し、一緒に行く事にした。 彼女も“行った方がいいのかな”と思いつつ、怖いしどこへ行けばいいのかわからないでいたようだった。 私の主治医は男性で、彼女は1度私の通う病院へ行ったものの男性の先生は嫌だと言う。 別に同じ病院である必要はない。合う先生でないと信頼出来ず、通う気にならないし意味がない。 彼女には彼女に合った先生がいるはずだ。別の所でもいいから病院には通うべきだと言った。 その後、彼女から「自分で見つけた心療内科に通っている」と聞いたので安心していた。 けれど、その後、私の知らない所で彼女は2度も自殺未遂をしていたらしい。 私は自分の事でいっぱいで、彼女が過食症だった事を知っていたのに 彼女が通院し始めた事で安心し、その後の話をあんまり聞いたりはしていなかった。 ベンジンを飲む、という方法で自殺未遂をして入院したらしいと友達づたいに聞いて私は驚き お見舞いに行ったのだが彼女はもう病院に居なかった。 一度目の未遂で入院し、その病院内で2度目の未遂をし、精神病院へ移されていた。 そして精神病院から、彼女の実家に戻る事になっていたのだった。 彼女の実家は隣の県だ。戻った彼女は電話で度々「そっちに戻りたい、実家にいるのは嫌だ」と言う。 私の場合は母親の所に帰ってある程度落ち着いたけれど、 彼女の場合は親元に居るのをこんなに嫌がっているのだから、逆効果なんじゃないかと思った。 戻るのなら住む場所と、そこを維持する為に新しい職を探さなくてはいけないだろう。 彼女には結婚式にも来てもらっていて、私の旦那とも仲良くなっていたので、旦那に彼女の事を話した。 旦那は「そんなに戻りたいなら戻ってくればいいのに。仕事探す間ウチに居れば?」と言う。 私は一瞬、そんな事が可能なのかと考えたけれど、 親も多分いいって言うと思うよ、と旦那が言うので旦那の両親に相談してみる事にした。 「隣県の実家に帰っている友達が、こっちに戻りたがっている。 仕事と住む場所を見つけるまでウチに置いてやりたいと思うけれど、どうか。」 話を聞いてお義父さんはこう言った。 「お前達の為に空けた部屋をお前達がどう使おうとお前達の好きにすればいい。 だけど、一緒の家に住むのだから私達にも気を使わず、 家族になったつもりで生活出来る様にしてやらないとダメだ。 同じ屋根の下に暮らすのだからそれはもう家族なんだ。 合鍵も作ってやって、ただいまと言って帰って来れる様にしてやりなさい。」 私達夫婦が同居するにあたって、今まで旦那が使っていた部屋以外にも一部屋空けてもらっていた。 けれどその部屋はまだ特に使っておらず、ちょっとした物置状態になっていた。 中身の入ってない洋服ダンスも置いてある。布団もある。 彼女にはその部屋を使ってもらえばいいだろう。 全く無料でというと彼女も気を使う部分があるだろうから堂々とこの家に住んでいてもらえるように 毎月3万円、光熱費込みの家賃として貰う事にした。 そうして私達が結婚して半年程経った頃、友達は私達と一緒に暮らす事になった。 ◆chapter 52について(日記) へ ◆chapter 53 へ ジャンル別一覧
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